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弁護士が民泊新法・旅館業法徹底解説② -旅館業法に基づく民泊営業とは?

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Stayway 編集部

トラベルライター

2018年前半に施行予定の民泊新法。インターネットでも多くの情報が溢れかえっていますが、あらためて弁護士の視点で、内容を整理・解説します。

平成30年6月に、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されます。
この民泊新法は、以下2点で、民泊営業に対するこれまでのハードルを大きく下げることが期待されています。

①旅館業法上の許可がなくとも民泊営業ができる
②これまでは営業できなかった住宅専用地域でも営業ができる

他方で、民泊新法に基づく民泊営業は1年間に180日間が上限となっており、かつ、 また、営業日数の上限については、条例により独自の規定を定めることが認められることとなりました。

そのような状況において、京都市が、住居専用地域における民泊営業の上限日数を、法律で定められた日数の3分の1に制限する方針であることが明らかになりました。

2017年10月26日付読売新聞朝刊の記事によると、騒音などで住環境に悪影響を及ぼすとして、観光客が少ない1月~2月の約60日間に限定する内容で、来年2月の市議会に関連条例案を提出する予定とのことです。
また、住居専用地域以外の地域でも同様の規制が可能か否か検討中であると言われております。

旅館業法に基づく民泊営業?

上記の規制は京都市の話ですが、今後、他の地域でも独自の規制が検討される可能性がありそうです。
民泊新法よりもハードルは高いのですが、営業日数の上限を気にせずに民泊を営業したいというオーナーの方にとっては、旅館業法に基づく許可を取得することを検討されてもよいかもしれません。

旅館業法に基づく民泊営業に必要なこと

● 旅館業の類型

旅館業法では、「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の4つの営業形態を定めています。このうち、民泊営業は「簡易宿所」の許可を得て行うことになります。

● 旅館業法、条例による許可の条件

旅館業法に基づく民泊営業をするためには、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)宛に許可申請をする必要があります。法令で規定されている、許可を受けるために必要な要件は次のとおりです(2017年11月現在)。

 ① 床面積

客室の延べ床面積の合計が33㎡以上である必要があります。ただし、申請する宿泊者の数が10人未満の場合は、3.3㎡×宿泊者の人数で算出される面積があればOKです。
また、条例によって、1客室の床面積に条件が付されていることがあります。例えば大阪市では、客室の延べ床面積が33㎡以上の施設については1客室の床面積は4.9㎡以上とする必要があり、かつ1客室の1人あたりの床面積を1.6㎡とする必要があります。

② 換気等の設備

換気、採光、防湿、排水の設備等について、法令で定められた基準に従って整備することが求められます。基準については、各地方自治体の条例で定められます。

③ 共同トイレ、共同洗面所

トイレを付設していない客室がある階には、男子用と女子用を区分した共同トイレを設け、トイレを付設していない客室の宿泊定員に応じた数の便器を設置することとされています。
また、共同洗面所については、宿泊者の需要を満たすことができる適当な設備の洗面設備を備えることが求められており、洗面設備を付設していない客室のある施設については、洗面設備を付設していない客室の合計定員に応じた数の給水栓を共同洗面所に設けることが必要です。

具体的な基準は各地方自治体が定めていますが、例えば便器の数ですと、便器を付設していない客室の合計定員が5人以下の場合は2個、6人以上10人以下の場合は3個とするところが多いようです。

④ フロント

現在の旅館業法では規制は設けられていないのですが、一部の自治体を除いて、条例によりフロント(玄関帳場)の設置が義務付けられています。

用途地域の制限

上記の条件以外にも、用途地域による制限があります。
具体的には、①第一種低層住居専用地域、②第二種低層住居専用地域、③第一種中高層住居専用地域、④第二種中高層住居専用地域、⑤第一種住居地域で床面積が3000㎡を超えるもの、⑥工業地域、⑦工業専用地域で旅館業法上の許可を取ることはできません。

消防法に基づく手続

消防法上、消化器や誘導灯、自動火災報知機の設置が必要となります。
また、一部の設備を防災物品とする必要があります。

用途変更

用途が住宅等となっている建物を簡易宿所として使用する場合、簡易宿所への用途変更の確認申請が必要となることがあります。

宿泊日数

民泊新法と異なり、宿泊日数の制限がありません。

マンションでの民泊営業

マンションの一部屋を民泊施設として使用する場合には、今まで述べた条件以外に、「民泊営業が管理規約上禁止されていないこと」が必要となります。

まとめ

以上、簡易宿所の営業許可を取るための代表的な条件を挙げました。
一見すると、対処すべき項目が多そうですが、行政機関が事前相談に応じていますので、適宜問合せをしながら進めていくことができます。
旅館業法の許可を取ることが可能な地域・建物であり、ある程度の手間をかけてでも許可を取ることが可能であれば、申請を検討してみてはいかがでしょうか。

法律住宅宿泊事業法

(民泊新法)

旅館業法

(簡易宿所)

国家戦略特別区域法

(民泊特区)

営業日数年間180日以内

但し、条例で更に規制される可能性あり

制限なし制限なし
宿泊日数1泊から可能1泊から可能2泊3日以上
客室の面積制限なし3.3㎡以上

×宿泊者の人数

(10人未満の場合)

原則25㎡以上
フロント(玄関帳場)なし条例次第で設置の必要ありなし
建物の用途住宅でも可ホテル・旅館住宅でも可
住居専用地域での営業不可原則不可(条例次第で可)

今までの記事

弁護士が民泊新法・旅館業法徹底解説!① -民泊新法の注意点

本記事の寄稿

荻原星治(おぎはら せいじ)弁護士
2006年京都大学法学部卒業、2009年大阪市立大学法科大学院修了。
2010年大阪弁護士会登録。かがやき総合法律事務所所属。